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しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

その中には拾い集めた落葉を岸本の腰掛ているところへ持って来て見せるほど慣れた二三の小娘もあった。近くの菓子屋で子供の悦びそうな菓子を一袋奢ったのが始まりで、その小娘達は岸本を見掛ける度に側へ来るように成った。

「皆好い児だね。リモオジュのお土産にその葉を小父さんが貰って行きましょうか」

と岸本が言うと、小娘等は嬉しげに並木の下の方へ飛んで行って、幾枚となく落葉を拾っては復た彼の側へ来た。小娘等が持って来たプラタアヌの葉の中には八つ手ほどの大きさのもあった。

「こんなに大きいのは貰っても困る。一番小さなやつを拾って来て下さい」

と復た岸本が言うと、子供等は馳出して行って、「もう沢山、もう沢山」と彼の方で言っても聞入れないほど沢山なリモオジュ土産を彼の前にあるテエブルの上に置いて見せた。その小娘等に誘われて、こわごわ彼の方へ近づいて来たまだ馴れない一人の女の児もあった。

「もっと日本人の傍へお出なさいよ」

と他の小娘達に手を引かれて、神経質らしいその女の児も彼の前までやって来たが、急に朋輩の手を振りほどいて一歩引退った。

「オオ、可恐い」

とその女の児は気味悪そうに岸本の方を見て言った。