轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

四十五

逃れて行ったほどのものがどうしてあの震える小鳥のような節子を傍観し得られたろう。彼は生きた屍にも等しい人を抱いてしまった。罪で罪を洗い、過ちで過ちを洗おうとするような哀しい心が、そこから芽ぐんで来た。彼は片腕で足りなければ、節子のために両腕を差出そうとするように成った。でも未だ根岸の姪から賛成してよこした例の縁談を断ってまでも、節子を自分の肩に負おうとするほどの決心はつきかねていた。

四十五

身も心も投出して救いを求めているような節子の姿は、一日は一日よりそれがハッキリと岸本にも見えて来た。彼女は叔父と共にある時ばかり、彼女の若い生命を楽むかのように見えた。そして他の一切のことを忘れているように見えた。彼女の病も。彼女の不自由な境遇も。彼女の親や姉や従姉妹に対する強い反抗心も。長い艱苦の続いた三年の間の回想はこうして旅から叔父を迎えたことを夢のように思わせるという風であった。彼女はよく岸本の側で熱い涙を流しつづけた。

節子の実際に弱いことを証拠立てて見せるような日の来たことも有った。岸本は近くにある郵便局まで行くことを節子に頼んだ。秋の彼岸過の日あたりの中をすこし歩いたばかりでも急に彼女は気持が悪くなって来たと言った。