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しんせい
新生
島崎 藤村
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页
父さんがお前達と一緒にその寄宿舎へ入るんだぜ。どうだね、父さんと一緒に行くかね」
「行くよ」と繁が言った。
「父さん」と泉太は弟の言葉を遮るようにして、「寄宿舎から学校へ行かれる?」
「それゃ行かれるとも」
「御飯もそこで食べさせてくれる?」と今度は繁が訊いた。
「食べさせるとも。そのための寄宿舎だ。そのかわり寄宿舎へ入ったら、お前達は父さんの食べる物を食べなくちゃいけない。あれが厭だ、これが厭だなんてことは、寄宿舎では言えない。出すものを食わなけりゃ成らない。それでもお前達は可いかね」
「ああ、可いとも」と泉太が事もなげに言った。
「寄宿舎には他に人も居るんだぜ。そこへ行って繁ちゃん見たいにあばれたら、それこそ大変だ。余程改良しなけりゃ。あんな大きな声を出して怒鳴ったり、障子を破いたりなんかしようものなら、一日でお断りを食う」
「寄宿舎へ行けば、僕だって改良するサ」
と繁が頭をかいた。
「オヤオヤ、もっと早く改良なされば可いのに」と言って、久米は笑った。
思いの外、泉太や繁が早く承知したので、岸本はやや心を安んじた。そればかりではない、変化を好む子供等は一日も早く父の言う寄宿舎を見たいと願うように成った。