轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

谷中へ行った帰りがけにはよく嫂の様子を知らせに寄る輝子の話で。岸本は病人のことを心配し出したばかりでなく、看護のために昼夜附きりだという節子のためにも気を揉んだ。もう三晩ばかりも碌々休まないという節子からの便りのあったのが、前の月の十九日あたりのことだ。

「夜明でございます。今しがた祖母さんに按摩さんの方を代って頂いて、階下へ来ました。御飯掛けた少しの間にこれを書いております――」

こうした文句の書いてある節子の手紙を読んだ時の心持は、ずっと岸本に続いて来ていた。寒い二月の夜の三時頃に弟を連れて医者の家を叩き起しに行ったという節子を岸本は想像で見ることが出来た。胸の痛む病人の側に附いていてはほんの少し寝返りを打たせるにも手を貸さなければ成らないほどであるが、しかし母の看護には出来るかぎりの力を尽しているから安心してくれという彼女をも、そのいそがしく骨の折れる中で凍って書けないという硯に対いながら夜明けの心持を分けようとする彼女をも、岸本は想像で見ることが出来た。

月の十日過には、嫂の病気は胸膿という名がついた。医者の勧めで、適当な病院を択んで手術をしなければ成るまいとのことで、義雄がその相談に愛宕下へやって来るほどに成った。