轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんせい
新生
島崎 藤村
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页
自分は大兄に節子のことをよく知って頂きたいためばかりでなく、輝子にもそれを知って置いて貰いたいと思い、それでこの手紙を持って行って貰うことにしたと書いた。今更自分が仏蘭西の旅に出掛けた当時の恥に満ちた心を申上げるまでもない、ここには主として節子に起って来た心の変化を申上げたいと書いた。自分がそれを知ったのは国を去って遠く行こうとする時からであったと書いた。自分はあの神戸の旅館で節子からの便りを受取って見て、自分の旅の決意が彼女の心を動かしたことを知って、寧ろそれを意外に思ったと書いた。自分は仏国の港に着き、巴里に着いた。旅にある自分の心は、節子をして一切の旧い記憶から離れさせたい、自分のことなぞは忘れて貰いたい、そして彼女の身を立てることを考えさせたいというにあったと書いた。「お前はもうこの事を忘れてしまえ」と言ってよこしてくれた大兄からの便りを巴里の客舎で読んだ時は、余計にこの心を深くしたと書いた。それからの月日の間、節子からの便りを読む度、いかに自分は責められたろうと書いた。その度に自分は返事さえ出すことをしなかったのみか、なるべく直接に彼女に文通することを避け、用事ある時は、それを大兄に宛てて言い送るくらいにしたと書いた。