轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

あまりに土地の子供等が煩く随いて来て、どうかすると後方から駆け抜けるようにしては五人の顔を見ようとするので、その画家はわざと子供等の方へ大きな眼球を突き付けながら、

「御覧」

と戯れて見せたこともあった。岸本等が着いたことはこれ程土地の人にはめずらしかった。入口の庭には葡萄棚があり裏には野菜畠のあるような田舎風の家で、岸本は巴里の方から来た主婦や主婦の姪と一緒に成った。

「この一番年長の方が岸本さんです。こちらは牧野さんと仰って矢張巴里に来ていらっしゃる美術家です」

こんなことを言って、主婦は姉という人に岸本等を引合わせた。黒い仏蘭西風の衣裳を着けた背の低いお婆さんは物静かな調子で一々遠来の客を迎えた。

土地の子供の煩さかったことは、葡萄棚に近く窓のある食堂で岸本等が楽しい夕飯に有付いた時にも石垣の外から覗きに来るものがあるくらいであった。こうした場所にも関わらず、停車場前に戻り、そこに一夜を送って、サン・テチエンヌ寺の塔を宿屋の窓の外に望みながら朝霧の中に鶏の声を聞いた時は、実に彼は胸一ぱいに好い空気を呼吸することの出来る静かな田舎に身を置き得た心地がした。