轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

彼女は結婚を断念してかかっているのだ。最初からもう岸本は彼女の自由には成らないのだ。彼女の生んだ子供まで彼女の自由には成らないのだ。この世に何物をも所有することの出来ないのが彼女の愛だ。その心持から、岸本は彼女が覚束ないながらも宗教へと辿り行こうとしていることを考えて、言いあらわしようの無いあわれさを覚えた。

「お前は節子をああして置いて可哀そうだとは思わないか。彼女の青春もやがて過ぎ行こうとしているではないか」

どうかするとこういう声が来て岸本を試みないではなかった。けれども、「わたしどもは幸福でございますね」というその当人をどうしよう。もとより彼は甘んじて節子を自分の肩に負おうとするほど罪過の深さを感ずるものだ。長い間の苦悩からどうにかこうにか彼女を救い出すことが出来て、彼女を幸福にすることが出来るなら、それ以上の運命を弱い人間の力でどうすることが出来よう。

岸本は自分の生命がしきりに彼女に向ってそそぎつつあるのを感じていた。彼は趣味に於いても不思議なくらい節子と一致していた。彼女の髪、彼女の着物なぞは誰のにも勝って彼の好みに合った。彼はあの弟子であり尼僧であり情人であったというエロイズをアベラアルの一生に結びつけて想像し、多くの名高い僧侶達の生涯にも断ちがたい愛着のくるしみのあったことを想像し、一切