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しんせい
新生
島崎 藤村
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页
「私の方から言えば、こういうものを頂戴して置くのも、自分から勘当を受けるのも、謹慎している意味に変りは無いようなものです。もし兄さんの役目が済まないという御考えでしたら、この手紙を持って行って頂きましょうか」
「よし。俺がそれを預かって行こう」
と民助も折れて、大判の奉書に義雄自身の手で大きく書いてある手紙をひろげて見た。
「兄弟の縁を切るなんてことは容易なことじゃ有りません」と岸本は言った。「まあ他の親戚が聞いたら何と思うか知りませんが、私はそれほど悪い人間じゃありませんよ」
「白状するだけ、まだそれでも正直なところが有るかナ」と民助は笑った。「貴様もまあ、何か立派な仕事でもして、この不名誉を回復するがいい」
「立派な仕事なんて言いますけれど、あそこまで節ちゃんを連れて来たことが私には可成な仕事でした――どうせ、人間の為ることです、そう大したことの出来よう筈もありません――まあ、節ちゃんのことは宜しく御願い申します――私はどうにかこうにかここまで漕付けて来たようなものなんです――」
「そりゃどうせ貴様等は結婚することは出来ないんだからなあ。心で思ってる分には、幾ら思っていたって差支はない――そりゃ差支はない」