轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

繁子や玉子というような基督教主義の学校を出た婦人があって青年男女の交際を結んだ時があったなどとはどうして知ろう、況してそういう婦人に附随する一切の空気が悉く幻のように消え果てたとはどうして知ろう、と彼は想って見た。まだ世間見ずの捨吉には凡てが心に驚かれることばかりであった。今々この世の中へ生れて来たかのような心持でもって、現に自分の仕ていることを考えると、何時の間にか彼は目上の人達の知らない道を自分勝手に歩き出しているということに気が着いた。彼はその心持から言いあらわし難い恐怖を感じた……」

岸本は読みつづけた。

「……明治もまだ若い二十年代であった。東京の市内には電車というものも無い頃であった。学校から田辺の家までは凡そ二里ばかりあるが、それくらいの道を歩いて通うことは一書生の身に取って何でも無かった。よく捨吉は岡つづきの地勢に沿うて古い寺や墓地の沢山にある三光町寄の谷間を迂回することもあり、あるいは高輪の通りを真直に聖坂へと取って、それから遠く下町の方にある田辺の家を指して降りて行く。その日は伊皿子坂の下で乗合馬車を待つ積りで、昼飯を済ますと直ぐ寄宿舎を出掛けた。