Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
「それから山の頂上へ登って、そのときその、北のほうにまた山が見えたものだから」
「加波山ていうだよ」
「たぶんそうだろうと思って」
彼は額の汗を拭いた。
「ちょっとみると尾根づたいにゆけそうだったものだから、それがどうもなかなか」
「若い人はよくそれで間違うだ」
五郎兵衛はそこで、娘のほうを振向いて云った。
「お梅、かまの火を見て来う」
「あい、おじいさん」
娘はすぐに立って、炭焼きがまの火をみるのだろう、小屋の外へと出ていった。小屋の引戸を閉めるとき、
「あれいいお月さまだ」
と彼女の云うのが聞えた。娘が去ると、老人は眼をあげて、じっと休之助の顔を見た。それまでとは違って、こっちをどきりとさせるような、底光りのする眼つきであった。
「昏れ方に代官所から、人が来ただよ」
老人は低い声で云った。
休之助はちょうど喰べ終ったところだった。熱い湯を椀に注いで、飲もうとしていたが、その椀を両手で持ったまま、息をのんで老人を見た。
「わしは信じないが、役人は謀反人と云っていただ、江戸から逃亡した謀反人だってよ、――おまえさまが入って来たとき、わしはすぐにこの人だなと思った」