Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
四
うしろ手に縛りあげ、猿轡を噛ませた渡辺蔵人を伴れ、万三郎はかよを抱いていた。伝次や秀と交代しながら、ずっとそうして抱いて来たのであった。
「どうしたんだ三郎」
休之助がまた云った。
「それはどうしたことだ」
「話はあとでします」
万三郎は答えた。
「つなさん、寝る支度をして下さい、この人は怪我をしているんです」
「あたし大丈夫です」
かよが身をもがいた。
「どうかおろして下さい、自分で歩けますから」
「黙んなさい」
万三郎は怒った声で云った。
「洒落や道楽でやってるんじゃない、これ以上せわをやかせると承知しないぞ」
かよは黙って眼をつむった。立って奥へゆくつなを見ながら、万三郎は(かよを抱いたままで)上り框に腰をおろした。
「伝次、おれの草鞋をぬがしてくれ」
伝次は云われるようにした。
休之助は炉端に坐って、まるで噛みつきそうな眼で弟を睨んでいた。万三郎は平然として、土間にいる蔵人を顎でしゃくった。
「休さん、その男を知っていませんか」
休之助がそっちを見た。蔵人は猿轡を噛まされたうえ低く頭を垂れているので、休之助には顔がよくわからなかった。
「なに者だ、――」
「わからないが相当なやつらしいんです、名は渡辺蔵人とかいってましたがね」