Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
二
「それが誤解のもとなんですがね」
と万三郎はべそをかきながら云った。
「人間の眼で見ることなんてたかが知れてます、誰が殴ったとか、泣いたとか、転んだとか、そんなことはみんな上っ面の問題で、真実なんか見えるもんじゃないんですから」
「では真実を仰しゃって下さい」
「それが貴女はそう軽く云うけれども、真実というものはそう易々と口にできないばあいもありますからね」
「はあ、そうでございますか」
つなはゆっくりと頷いた。
「眼で見たものも間違い、口で云うこともできない、――そう致しますと、万三郎さまの真実と仰しゃるのは、どうして理解したらいいのでございますか」
万三郎はうっといった。
こう理詰めにやられると、普通の男ならむかむかするところである。相手が好きな女であればあるほど、怒りたくなるのが一般らしい。が、万三郎は閉口するだけであった。
――この人は頭がいい。
そう感心したくらいであった。
「そこをひとつ、わかって頂きたいんですが、――」
彼がそう云いかけたとき、裏の堀へ通ずる木戸があいて、休之助が入って来た。
二人は庭はずれにいたので、入って来た休之助はすぐにかれらをみつけ、例の性分で、いきなり大きな声で呼びかけた。