Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
三
一つはこの薪山の下を北へゆき、他の一つは東のほう下館へ向って延びていた。どっちへゆくかと注意していると、出て来た人と馬は、下館の方向へゆくようであった。
つなはそっちを見た。
夕映えの色もうすれた東の空に、筑波山の高い嶺と、加波山の稜線がくっきりと黒く見えた。つなは笹藪から道へあがり、人馬の列のほうへ近づいていった。
馬は二頭、人は十人ばかり。馬も人も荷物を負っていた。提灯は「山五」の印のあるものが一つだけ(それは古木家の紋であるが)なので、人数は詳しくはわからなかった。それで知らず知らず、つなは行列との間隔を縮めたが、うしろからしんがりが来るのに気づかなかった。
古木邸から四五丁のところで、とつぜん二人の侍がおどりかかり、つなは短刀を抜くいとまもなく、捕えられてしまった。
「――なんという油断だろう」
つなは今も口惜しそうに舌打ちをするのであった。
三
この土蔵は古木邸の中にある。
捉まった夜からすぐ、つなはこの部屋に押籠められた。家人には内密らしい、もう六十ばかりになる老女が、一人でつなの世話をした。武家の奥にでも仕えているような、品のいい老女であるが、用事のほか口は殆んどきかないし、話しかけても決して返辞はしなかった。