Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
五
「あらまだだめよ」
着替えをして、寝間へ入ろうとすると、かよが手をひろげて止めた。
「いまちょっとお化粧を直すんだから待っていらっしゃい、ほんのちょっとだから」
「どうして待つんだ」
「そんなことお訊きになるものじゃないわ、そこに坐っていらっしゃい」
こんなふうに字に書くと乱暴にみえるが、かよの口から聞くと、子供っぽくて、あまくしっとりとして、微笑ましいくらいである。
「つなさんになんて仰しゃって」
水白粉を手につけながら、かよは横目で万三郎を見た。万三郎は手を振った。
「かくべつなことは云やあしない、ごくあたりまえな挨拶さ」
「だからなんて仰しゃったの」
「うう、その、……ながいこといろいろと御面倒をかけましたってさ」
「あの方はなんて、――」
「いいえわたくしこそ」
「それから、――」
「たいへん不躾なことばかり申上げました、どうぞお忘れ下さい、――おい冗談じゃない、つまらないことを云わせないでくれ」万三郎は口を尖らせた。
かよはいたずらっぽく笑って、
「あなたどんなお気持だった。正直に仰しゃってよ、いざとなると別れるのが辛かったんじゃなくって」
「正直にいえばほっとしたさ」