Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
三
逃げられないと悟ったらしい、かよは立停って振返った。万三郎はまっすぐにそっちへ走せつけながら、
「伝次、向うの男を縛れ」
と命じた。
「お気をつけなさい」
かよが万三郎に呼びかけた。近よって来る万三郎に向って、そう呼びかけながら、右手を振って身構えた。その手に、ぎらっと懐剣が光った。
万三郎は構わず進んでいった。
「どうするんです、それで私を斬ろうとでもいうんですか」
「斬れないと仰しゃるの」
「と思いますね」
万三郎は足を停めて、じっとかよを見つめながら云った。
「なぜなら、いま渡辺蔵人とかいうあのけだものが、あんな無礼なことをしたのに、貴女はその懐剣を抜いてみせようともしなかったじゃありませんか」
「必要があれば抜きます」
「へえー、すると私はよけいなお節介をしたというわけですか」
「もちろんですとも」
かよは懐剣を持ち直した。
「あなたがもう少し見ていればおわかりになったでしょう、自分の身を護るくらいのことはあたしにだってできます」
「慥かですか、それは」
「お望みならば証拠をごらんにいれますわ」
かよの眼がきらきらと光った。まるで燐でも燃えるかのように、きらきらと妖しく光るのが万三郎に感じられた。