Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
四
四
「いいわ、半ちゃん、もうこんな話よしましょう」
おちづは姉が弟をなだめるように、そっと半次の肩を押えながら云った。
「もう少し経てば、あんたにもわかってもらえるわ、もし芸妓になることが間違っているにしても、あたしに間違いがなければいいんだし、それは見ていてもらうよりしようのないことだわ、これからはまた、いつだって逢いたいときに逢えるんだし、あたしが変るか変らないかは、半ちゃんの眼で見ていてくれればいいのよ」
「おいらのことなんぞ、放っといてくれ」
半次はそっぽを向いた。
「おらあ自分のことは自分の好きにするよ、それに、すぐまた江戸を出てゆくんだ」
「――江戸を出てゆくって」
「中谷さんや花田さんたちといっしょにゆくのさ、ことによると生きて帰れるかどうかもわからねえんだ」
「――あたしを脅かすのね」
おちづはじっと半次の眼を見つめた。半次はおとなびたふうに唇を曲げた。
「なんのためにおめえを脅かすんだ」
「だって半ちゃん、あんたたち紀州から帰って来たばかりじゃないの」
「おめえにゃあわからねえさ」
「嘘よ、嘘だわそんなこと」
そのとき二人のうしろに足音がし、万三郎の声が聞えた。