Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
七
七
「石黒先生、――」
万三郎は声かぎり叫んだ。声かぎり叫びながら走った。
だがそのまま追い続けることはできなかった。
敵はすでにその大半を失っていたが、残った者たちはみな相当な腕達者で、しかも全部がそこを最期の場ときめ、そこで斬死にをする覚悟のようであった。
その数はおよそ四五十人とみえるが、誰一人として、脱出しようとか、生き延びようとか考えている者はないようにみえた。
走ってゆく万三郎の面前へ、また、左から、右から、そういう敵が襲いかかった。
「おやめなさい、むだですよ」
そのたびに彼は叫んだ。
「そんなことをしてどうなるんです、もうだめだということはわかってるでしょう、およしなさい、どうかよして下さい」
だがどの相手もきかなかった。
狂気のように斬ってかかり、逃げると追って来た。しかも適当にあしらえるようなものではなく、うっかりするとこっちがやられそうなので、万三郎も本気にならざるを得なかった。
彼はしだいに本気になった。
「心得た、さあ来い」
そんなふうに刀を合わせると、こんどは爽快といってもよいほどの闘志が湧いて来た。全身が軽くなり、手足は発条のように柔軟な弾力をもって、敵を選ばず相手になった。