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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme

Aozora Bunko

春昼

一

春とは云ってもまだ二月中旬で、朝の空気はかなり冷たかったが、まる一時間も刀を振った(彼の日課であった)あとでもあるし、若い血の充満している躯は、水で打たれるとますます緊張し、みごとに赤くなっていった。

※(歌記号、1-3-28)――やがて出ずるや秋の夜の、やがて出ずるや秋の夜の――

謡の声はまだ続いていた。

「はてな、――」

万三郎は首を傾げ、手拭できゅっきゅっと躯を拭きながら、眼を向うへあげた。

此処は向島須田村で、青山大膳亮の下屋敷である。結城から帰って来てすぐ、かれらはいちど橋場の和泉屋の寮に入ったが、あまり人数が多いと、敵に嗅ぎつけられる危険があるし、また近いうちに、紀伊家の小田原河岸の邸から、花田徹之助の妻子を奪回して来る計画もあるので、かよに万三郎を付けて、向島へと移らせたのであった。

青山(大膳亮)幸直は若年寄で、井伊直明とも親しかったし、松平伊豆守とはさらに深い交友があった。それでその下屋敷を借りたのであるが、此処は前に綾瀬川の流れがあり、向うは畑や田や、雑木林などの、うちわたして見える田園で、晴れている日には、筑波山が美しく眺められた。