Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme

Aozora Bunko

六

――しかし現に彼女は見た。眼の誤りではない、慥かに、現実に、彼女はその情景を見たのであった。

つなは眼が眩みそうに思った。

女の眼にも羨ましいほどの、美しく嬌めかしい胸、すっかり成熟した、あらわな、むきだしの胸。そして、その胸にちかぢかと顔を寄せて、その豊かな乳房に手を触れている万三郎。

つなは自分が辱しめられたように思った。屈辱と怒りがつなを圧倒した。それは、日頃のたしなみを忘れさせるほど、強く激しいものであった。

「ごめんあそばせ」

つなが声をかけた。

二人は振返った。かよは自分の企みがまさに成功したことを認めながら、ひどく吃驚したように、あっと眼をみはり、

「まあ、つなさま」

と云って衿をかき合せた。

「いついらっしゃいましたの、まあ、少しも存じませんでしたわ」

「やあいらっしゃい」

万三郎はにこっと笑った。彼としては良心が咎めないから平気であった。つなはまったく石のように硬ばった顔で、しかし眼にはらんらんと怒りの焔をこめて、刺しとおすように万三郎を睨んだ。

「いまかよさんのね」

と万三郎は明朗に云った。

「あのときの傷の手当をしていたんですよ、慣れないもんでちょっと失敗したりしましたが、まあおあがりになりませんか」