Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
三
そして、その緊張したまるみの上に、茜木綿の短いふたのが覗いているのが、少年たちにとってはまったく閉口ものであった。
それこそ正に「かなわない」ものであった。
「女なんかなんでえ」
いちばん大きな少年がうしろへ退った。
「なんでえ女なんか、女なんか相手にするかえ、喧嘩は男と男でするもんだ、なにいってやんでえ」
「くそったれあまア」
小さい子供の一人が、こう悪態をつくなり逃げだした。
「井伊さまなんか怖かねえぞ」
その井伊さまが決定的に効いた。続いて一人、また一人、いちばん大きな少年までが、――彼は唾を吐きかけたが――思いきりよく逃げていった。
「怖かねえぞ、井伊さまなんか」
かれらは逃げながら喚いた。
「ざまあみやがれ、くそったれあまア」
三
半次はおちづの手を振り放し、掴まれていた腕を撫でながら、さもいまいましそうに唾を吐いた。
「よけえなことをしやがって」
彼の眼から涙がこぼれた。
「どうしてでしゃばるんだ、おいらが負けるとでも思ったのか」
「深川っ子は危ないのよ」
「危ねえからどうしたっていうんだ」
半次は歩きだした。おちづは急にしょげて、あとからついてゆきながら、おろおろと機嫌をとるように云った。