Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme

Aozora Bunko

七

「いいえ、もちろん、もちろん会やしません」

首を振ったが、それは事実そのとおりなのだが、どうしてか顔が熱くなり、兄やつなの眼が眩しくなった。そこで彼は自分で狼狽し、

「ほんとですよ、決して嘘なんか云やしません、絶対に会わなかったんです」

「誰も嘘だなんて云いはしない、念のために訊いたまでだ」

「むろんそうでしょうけれど、しかしどうしてあの女に会ったかなんてことを気にするんですか」

「諄いな、ただ訊いてみただけだと云ってるじゃないか、会わなければ会わないでいいんだ」

「だから会わないと云ってます」

「わかったよ」

休之助はそっぽを向いた。同時につながすっと立っていった。どうやら感情を害したというようすである。

――またか。

と万三郎は舌打ちをした。

どういう加減のものか、かよのことが出ると必ず気まずくなる。彼が理由もないのにへどもどしたのも悪い、じつのところどうしてあんなに狼狽したかわからないのであるが、いってみれば、かよの話が出るとつなが気をまわすらしいので、こっちはまた気をまわされやしないかと思って、やっきになったわけだろう。

それがまた逆につなの感情を害するという結果になったとなると、ちょっとうんざりするなどという程度の気分ではなかった。