Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
五
彼は舳先のほうへぬけ出した。
「ずばぬけて派手な女ですからね、どうか油断なく頼みます」
「花田さんも自重して下さい」
万三郎は舳先からじかに、身軽く土堤へとび移った。そのけはいで驚いたものか、向うの枯芦を騒がせて、五六羽の鴨がけたたましく舞いあがった。
五
万三郎が去ってから約四半刻(三十分)ほど経った。
舟の艫で友吉老人の焚く火が、ようやく濃くなってゆく黄昏の中で、赤々と明るく火の粉を散らしていた。
斧田又平は小屋の中で、小さな火桶を抱えたまま、ふなばたを打つ川波の、ひそかな音を、聞くともなく聞いていたが、ふと、岸のほうで人の声がし、枯草をがさがさと踏み分ける音がしたので反射的に手を伸ばして刀を取った。
小屋の隅に彼の持物の包がある。刀はその下に押込んであったのだが、彼はその刀を取って、じっと聞き耳を立てた。
「なんでござりますかな」
艫で老人が云った。
岸に人が来たことは慥かである。返辞はなかった。
風がさっと枯芦を揺りたてた。
又平は小屋の戸口から外を覗いた。濃い牡丹色に染まった空を背にして、堤の上に五人の侍のいるのが見えた。殆んど無反の長刀を差した一人(それは石黒半兵衛であったが)はべつとして、他の四人はみな足拵えをし、鉢巻、襷という周到な身支度をしていた。