Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
「では鍵を差上げます」
片手を枕の下へ入れ、赤い紐の付いた鍵を取って差出した。
「わたくしのことはお案じなさいますな、いつかどなたか助けにいらっしゃるだろうと、待っていたのでございます」
「それは有難う、しかし」
万三郎は心をゆるめなかった。
「残念ながらその言葉を信じている暇がないんだ、まかり違えば二人の命にかかわるばかりか、もっと大事なことにも影響するんでね、――好意にそむくようだが辛抱してもらうよ」
彼は起きろという手まねをした。老女はすなおに起き直った、万三郎は枕元にたたんである(老女の)着物の上から、二た筋の腰紐を取り、彼女の手を背に廻して縛り、また足を縛った。
「ほかに誰かいますか」
老女は首を振った。彼が手拭で猿轡を噛ませようとしたとき、彼女はいちど避けて云った。
「つなさんはわたくしの死んだ娘に似ておいでなさる、わたくしは娘のように思っていました。本当の娘のようなつもりでお世話をしていました、どうか御無事に、――お二人とも、どうか御無事に」
万三郎は心を鬼にして猿轡を噛ませた。老女は黙った、彼は夜具のまま柱の側へ引いてゆき、彼女の躯を、帯で柱に縛りつけた。