Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
――斧田と二人だな。
そう思うと闘志が火のように燃えあがった。彼はつなの側へとび寄りながら、
「甲野の兄さん」
と声いっぱいに叫び返した。
「気をつけて下さい、その中に石黒半兵衛がいます、飛魚という突の名手です」
「こっちに構うな」
と休之助が叫んだ。
「つなを伴れて逃げろ」
万三郎は躰をひらきながら大きく刀を振った。一人の男が斬り込んだのであるが、同時にもう一人が猛然と突を入れて来た。
万三郎は右と左にその二人を斬った。先の男は太腿、次の男は二の腕である。手応えは慥かだったし、かれらの悲鳴と、転倒した一人の姿を見て、万三郎は自分の腕の慥かさをはっきり自覚した。
――これならやれるぞ。
そう思った。小野派と念流の免許を取っているが、真剣の立合いは初めてだし、人を斬るなどということは想像したこともなかった。だがいま彼はやった。それも馴れない他人の刀で、みごとに二人斬ったのである。
――石黒ともやれるぞ。
そういう勇気が実感として身内にわきあがった。
以上はごく短い時間のできごとであった。並の呼吸にして三十か五十くらいの間だろう、気がつくと、休之助たちのほうが急に静かになり、なにか云っている女の声が聞えた。