Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
「山猫だって、――」
おちづは眉をつりあげた。
「あたいを山猫だって」
「おれじゃねえよ、世間でそ云ってるんだ、この頃みんなが蔭でおめえのことをそ云ってるんだ、だからおらあちい公が可哀そうで、いつか折があったら悠くり慰めてやろうと、なあ、――そうだなあ三島」
「うん、そうら、そうらとも、おらっちれゆっくいなぐさめてやろうとら、ほんとらろ」
「やかましい、どかねえか」
おちづは叫びざまに、屁十の向う脛を蹴った。だがそれがまずかった、二人はそういうきっかけを待っていたらしい。
「おっ、やるか阿魔」
屁十は逆にとびかかった。同時に、脇から三島もつかみかかった。
おちづはかれらを舐めていた。これまでついぞ一度も、人に負けたことがない。彼女が辛辣な舌でまくしたて、着物の裾をくるり捲ってみせると、どんな相手も恐れをなして退散した。たまに捉まえようとでもする者があれば、爪と歯で傷だらけにされ、悲鳴をあげて逃げるのがおちであった。
――屁十と三島なんぞ。
こう思っていたのだが、そのとき、二人に抱きすくめられると、おちづは身動きができなくなった。
「畜生、なにをするんだ」
叫ぶ口を三島が手で押えた。