Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
裏の崖に清水の湧くところがあって、一日じゅう筧から余るほど水が出ていた。まわりはいちめんの叢林だから、焚き物にも困らない。隠棲閑居にはもってこいの場所であった。
杣道はまえから廃道になっていたとみえ、かれらが住むようになって以来、かって人の姿をみかけたことがなかった。
昏れ方であった――
万三郎は裏の筧で顔を洗い、小屋の前へまわって来ると、
「どこをうろうろしているんだ」
いきなりどなりつけられた。
「えっ、な、なんですか」
万三郎は吃驚した。あんまり突然だったし、おそろしく高い声でどなられたので、われ知らずうしろへとび退いたくらいだった。
戸口の前に兄の休之助が立っていた。
休之助は凄いような眼をして、口をへの字なりにして、いまにも殴りつけそうな姿勢で立ちはだかっていた。
「どうしたんです、なにを怒っているんですか」
「どこをほっつき歩いているんだ」
休之助はさらにどなった。
「必要のない限り出歩くなと云ってあるじゃないか、どこに敵の目があるかわからない、用心の上にも用心をしなければならないのに、なにを毎日うろうろしているんだ」
「うろうろなんかしませんよ」