Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
伝次は裏切りはしない。
こう確信してはいたが、人間の心の中まではわからない。もしかすると罠があって、いきなり敵に取巻かれるかもしれない。そういう疑念がなくはなかった。柵の木戸を入ったとき、それからこの小屋へ入るまで、
――今か、今か。
と緊張し、忍ばせている脇差の柄を、指の痛くなるほど握り緊めていたのであった。
だがもう大丈夫だと思った。
もし罠にかけたのなら、そこへ来るまでになにか仕掛ける筈だし、伝次の態度にも疑わしいようすは現われなかった。
「おら大作てえもんです」
いちばん奥へゆくと、その男はごく低い声で囁きながら、床張りへ腰をかけた。万三郎は彼のすぐ脇へかけた。
「あらましのことは伝次から聞きあした、お手伝い致しますから、どうかおらたちに罪のかからねえようにお願え申しあす」
「よし、わかった」
万三郎も囁き返した。
「これからいろいろ頼むことがある、その手助けをしてくれれば決して悪いようにはしない、――ところで、いま荷駄が着いたようだが、積下ろしはおまえたちがやるのか」
「いんえ、あの荷駄はおらたちには触らせねえです、みんなお侍たちだけで庫へ入れるですよ」