Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
「たぶんそうでございましょう」
つなが冷やかに云った。
「わたくしも万一のときのことを申しただけでございますわ」
万三郎もつい云い返した。
「貴女の油断のないのにはいつも感心しますよ」
「三郎、――」
と休之助が睨みつけた。万三郎は立っていって、渡辺蔵人を縛った繩のぐあいを見、それから高い声で独り言を云った。
「危ないのはむしろこっちのほうだ、ひとつ念のためにもうひと繩からめあげるか」
それには誰も答えなかったが、万三郎はもう一本繩を出して来て、蔵人を床の上へあげ、厳重すぎるくらい柱へ縛りつけた。
「気の毒だが長くても夜明けまでだ」
と彼は蔵人に云った。
「これまでずいぶん好いおもいをして来たらしいから、その代償と思って諦めるんだな、断わっておくが、――もし逃げようとでもすると、番に残るものが遠慮をしないぜ、じつに断乎たるものなんだから、わかったな」
「三郎、――」
とまた休之助が叱りつけた。
軽く夜食をとり、身支度をして、休之助と万三郎と斧田の三人は、まもなく観音谷へ向って出立した。出てゆく三人にも、送り出すつなにも、むしろ「出陣」といいたい感じであった。斧田の云ったように、三人がぜんぶ死ぬとも思えないが、みんなが無事に帰れるとも思えなかった。