Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
万三郎は吃驚して、
「危ない、――」
われ知らず駆けよろうとした。
「斬れ、斬ってしまえ三郎」
うしろで声がした。休之助が斧田といっしょにこっちへ来るのが見えた。
半兵衛は倒れたまま、地面に長くのびて、背に波をうたせながら、喘いでいた。
「なにをぐずぐずしているんだ、なぜ斬らないんだ」
休之助がそこへ来てどなった。
「動けなくなった人を斬れやしません」
「そいつは敵だぞ」
「しかしもうなにもできなくなった人です」
「ではおれが片づけてやる」
休之助が前へ出た。
「待って下さい、いけません」
「きさま、――また悪い癖がはじまったな」
「この人は斬らせません」
万三郎はきっぱりと云った。
「この人は不幸な人です、これまでも実際にはなんにもしなかったし、これからはなおさらなにもできやしません、翼の折れた鷲のようなものです、この人に構わないで下さい」
「――おかしなやつだ」
半兵衛がそう云った。
十二
「おかしな男があったものだ」
地面にのびたまま、そう云いながら、半兵衛はくすくす笑いだした、が、それは笑うのではなく、泣いているのだということが、すぐにわかった。彼は泣きながら、なお云った。