Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme

Aozora Bunko

おちづは(半次のことはべつにして)正直に自分のことをすべて語った。

――おやおやまあ、おっ母さんと弟を洪水でとられて、へえ、それはさぞ悲しかったろうねえ。

その中年増の女はそんなふうに云って、袂で眼を拭いたりした。いつか老婆はいなくなり、ごろつき風の四十男が入って来た。

「そのときあたしすぐにわかったわ、ああいけない、これは人買いに捉まったなって」

おちづは化粧の手を止めた。

「それであたしいきなり啖呵を切ったの、ばかにしちゃあいけないよ、江戸の金杉で山猫のおちづといえば、知らない者のないおねえさんだ、へたなまねをして後悔しないようにおしって」

「よくもまあ、――」

松吉は眉をしかめた。

「旅先のそんな家で、そんな人間によくもまあ云えたものだね」

「そのくらい馴れたものだわ」

おちづはちょっと舌を出した。

しかしその啖呵は効果がなかった。むしろ逆に、相手の肚を据えさせた。

――そうか、そんなにいい顔の姐御か。

こう云うなり、男はおちづを殴りつけ、そこへ捻じ伏せた。

三

おちづは眼が眩んだ。

男はその逞しい躯にあるだけの力で殴りつけ、ひき倒して捻じ伏せ、髪毛をつかんで顔を畳へ擦りつけた。