Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme

Aozora Bunko

「あの山の向うだったな、――」

いま、万三郎の眼にその筑波山が見える。

結城から加波山、観音谷のあの夜までの、眼まぐるしい出来事が、なつかしい回想となって、記憶のなかによみがえって来た。

「そうだ、いまになってみると、なにもかもなつかしい」

彼は眼を細めながら呟いた。

「あのときは死ぬか生きるかという騒ぎだった、特に古木邸へ忍び入ったあの晩は、――」

そこで万三郎ははっとした。

※(歌記号、1-3-28)――げにや一樹の蔭に宿り、一河の流れを汲むことも、――みなこれ他生の縁ぞかし。

謡の声はあまりうまくない、間拍子もおかしいが、聞いているうちに万三郎は、その文句に覚えのあることを知った。

「慥かに初めてではない」

彼は首をかしげた。

――慥かにどこかで、――なんでも雪が降っていたようだが。

そしてぱっと眼をみはった。

「そうだ、古木邸の中だ、あの土蔵の窓から聞えて来たのだ」

雪が舞い狂っていた。

彼はつなの所在を捜して、その雪の中を歩きまわっていた。すると、吹き荒れる吹雪の彼方から、静かな、よく澄んだ声で、その謡曲が聞えて来たのであった。

「そうだ、あの人が謡っていたんだ、土蔵の二階の座敷牢の中で、――つなさんが」