Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
云いかけて、かよは庭のほうを横眼で見た。
誰か庭先へ来たように思ったのであるが、横眼で見ると、若い女がこっちへ近づいて来るところだった。
それは甲野のつなであった。
すっかり武士の娘姿になり、髪もきれいに結いあげてどうやら薄化粧をしているらしかった。こちらのようすにはまだ気がつかない、かよは微笑した、嬉しくって堪らないという微笑だった。
「こんどはそっとなすってね」
かよは鼻声の舌ったるい口ぶりで、こう云いながら胸を前へさし出した。乳房が顔へ当りそうになり、万三郎は身を反らした。
「そんなに動いてはだめです、少し動かないでいて下さい」
「だって痛いんですもの」
「動くからですよ、じっとしていれば、――もうちょっとこっちへ向いて下さい」
つなは縁先まで来た。そして、そこでぴたっと立停った。
まるで急に石にでもなったように、ぴたっと立停り、大きくみはった眼で、座敷の中の二人を見た。
「あらいやあ――擽ったい」
かよが嬌声をあげた。
六
つなの顔は紙のように白くなった。
彼女は見た。――いちどは自分の眼を疑った、それはあり得べからざる情景であった、これまで見たこともないし、想像したこともなかった。