Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
――しめた。
うまくいった。正に、うまくいったと思ったが、敵の用心ぶかさは念のいったもので、樹立の間に綱が張ってあった。
万三郎はその綱に足を取られ、みごとにつんのめって、なにかの植木の上へだっと転倒した。すぐにはね起きたが、とたんにうしろから組みつかれた。
「くそっ、――」
そいつを肩越しに投げ、横へ跳ぼうとすると、こんどは木の根に躓いた。躰勢が崩れ、危なく転ぶのはまぬかれたが、まわりはぐるっと松明で、しかも、抜刀と槍が、一尺の隙もないほどびっしり取巻いていた。
「だめらしいな、どうやら」
万三郎はそうどなった。
「もう諦めるとするか」
「刀を捨てろ」
と向うから叫んだ。万三郎は刀を投げた。
「このとおりだ」
と彼は明朗に云った。
「負けと定れば諦めはいいんだ、しかしその刀は大事にしてくれ、それでも粟田口の古刀なんだぜ」
鼠
一
おちづはお手玉をしていた。
黒江町の堀に面した「ちづか」という料亭のお内所で、その家の小さな娘の、お民が相手であった。
お民は八つで、色は白いが、毬のように躯も顔もまるまると肥えている。眼も眉毛も尻さがりで、おちょぼ口が可愛らしい。