Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme

Aozora Bunko

木戸のこっちではなく、木戸を入った中にある。そっちへ入ってはいけないと云いながら、鳥舎を見て来いというのは矛盾しているが、女中はなにげなく云ったらしい。

「構やしないわ、夜だもの」

おちづは独りでそう云い、ちょっと舌を出して、木戸から中庭へ入っていった。

庭へ出るのは初めてであった。

松吉姐さんから、升屋の庭の豪奢なことは聞いていた。鞠場というのはどんなふうになっているのか、いちど見たいと思っていたし、築山へ登ると(夜ではしようがないが)富士山と筑波が見えるそうであった。一丈五尺もあるというその築山へも、いつか登ってみたいと考えていた。

鳥舎は二間四方くらいの大きさで、網が張ってあり、中には十幾種かの鳥が飼ってあった。鷺、鴨、鷭、しぎ、雁などもいるそうである。小鳥にも珍しいのがいると、姐さんが話していた。

「いつかの赤い雀もいるかしら」

独り言を云いながら、そっと鳥舎へ近づいていった。

月のきれいな、春らしい晩であった。

雲が流れているので、ときどき暗くなるが、雲が去ると、月の光りであたりがよく見えた。

鳥舎の中はひっそりとして、鳥どもは本当に眠っていた。