Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
「なあ頼むよ、でかいほうの権兵衛さん」
万三郎は戸を叩く、
「本当に喉がからからで眼が眩みそうなんだ、茶を一杯だけでいいんだから、なあ権兵衛さん、でかいほうの権兵衛さん」
「黙れ、われわれを愚弄するか」
仕切の向うでどなる声がした。
「でかい権兵衛だの小さい権兵衛だの、いいかげんにしろ、われわれにはちゃんと姓名がある、なにが権兵衛だ」
「だってその名前を知らないんだからしようがない、名前がわからなければ名無しの権兵衛、二人を区別するためにでかいの小さいの、これで理屈に合ってるじゃないか、なあでかいほうの権兵衛さん」
「黙れ黙れ、黙れというんだ」
「茶を呉れれば黙るよ」
「ええくそ、人をばかにするな」
でかい権兵衛だろう、仕切の向うでそう叫びながら、足踏みをする音が聞えた。顔をまっ赤にし、拳をふり廻して怒っている姿が見えるようで、万三郎は声をころしながらくすくす笑った。
「人をばかにするな」
とでかい権兵衛は続けた。
「きさま宵のうちから茶を呉れ茶を呉れといって、もう五たびも茶を飲んでいるじゃないか、その合間にはなにか喚きちらす、どたばた暴れる、いったいどうしようというんだ、なんのためにそう騒ぎたてるんだ」