Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
万三郎はぐいと酒を呷った。
「それでいつも思うんですよ、木は木、草は草とひとまとめにしてしまったらいい、魚なんぞもこれは海魚、これは川魚、これは湖水魚、それでいいと思うんですがね」
「人間も名前なんかとって、男は男、女は女とひとまとめにしてしまいますか」
ばかな会話である。
万三郎も暢気だが、兵馬も暢びりした性分で、こんな話になると二人とも飽きないのである。――川魚の塩焼に芋の甘煮で、万三郎はあまり強くないが、二人はいい心持そうに盃を重ねた。
そのうちに吸物が出た。
「こんどは先に訊きますよ」
椀の蓋を取って、中を見ながら万三郎が云った。
「なんですかこの野菜は」
「――うん、洒落れていますね」
「なんという物です」
「知らないんですか」
兵馬は中のみを箸で摘んだ。
「――蕨ですよ」
わらびと聞いて、万三郎はくしゃんと顔を歪め、恐ろしい物をでも見たように、慌てて椀へ蓋をした。
「どうしたんです、嫌いですか」
「嫌いです、大嫌いです」
万三郎は「蕨めし」の失敗を思いだしたのである。彼はさらに力をこめて云った。
「私は一生、これだけは喰べません、見るだけでぞっとするほど嫌いです」