Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
観音谷このかた、すっかり諦めてはいたけれども、今、眼の前でかよが、他の男を案ずるあまり顔色を変えるのを見ることは、耐え難い苦痛だったのである。
「大丈夫、心配はない」
と半兵衛は云った。自分の胸のするどい痛みを、けんめいに抑える声であった。
「敵の三分一は斬死に、残りは鳥沢の番所へ捕えられた、そうして、花田さんたち四人は、目的の地へ乗込んでいったそうです」
「目的の地がわかりましたの」
「わかったから、私もこのとおり追って来たんです」
「――もういちど訊きますわ」
かよはじっと半兵衛を見た。
「――なんのために、貴方があの方のあとを追うんです、あの方をどうしようというつもりなんですか」
「ああそうか、そうですか」
半兵衛は悲しげに頷いた。
「貴女はなにも知らないんだな、そうか、私と花田さんのことを、――よろしい話しましょう、そうすればわかってもらえる筈だ」
そして彼は話した。
四
かよは黙って聞いていた。
半兵衛はうまく話せなかった。自分の気持をうまく話せないのが、いかにももどかしそうであった。
しかしかよは了解した。
彼が万三郎の温たかい思い遣りに対して、また、そんなにも彼がおちぶれ、敵味方となっていながら、剣士として尊敬してくれることに対して、――ついに甲をぬぎ、半兵衛それ自身をとり戻した。