Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
さあと云って、彼は万三郎とかよの手を重ねさせ、それを自分の手で挾んだ。
「花田さん、この人を頼みます」
かよがふいに咽びあげた。
「かよさんは、必ず貴方を仕合せにする人です、一生の事は、勇気をもって、つかむべきものをつかんで下さい、わかりますか」
「よくわかります」
「この二つの手は、このまま放れることはないでしょうね」
「決して、――」
「それでこそ花田さんだ」
半兵衛は喘ぎながら云った。
「かよさん、おめでとう」
そして半兵衛は長い太息をつき、ぐらっと、片方へ頭を倒した。万三郎は半兵衛の手首を押え、脈をさぐりながら、呼びかけようとしてやめた。
かよは跼んだまま、顔を掩って泣いた。
かよの泣くのは初めてである。万三郎は黙って聞きながら、半兵衛の脈の絶えるのを、じっと自分の指で慥かめていた。
台地の乱闘はすでに終ったらしい、味方の人たちの呼びあう声が、倒れた負傷者の呻きや、水を求める叫びなどに混って、にわかにはっきりと聞えだした。
「――亡くなったよ」
万三郎がかよに云った。
「眼をふさいであげないか」
かよが涙に濡れた顔で、万三郎をふり仰いだ。
十
かよが半兵衛の眼を閉じさせていたとき、万三郎がふいに立ちあがった。