Japanische Klassiker mit Furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Lesen Sie 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 244.473 Zeichen · 487 Bildschirme
三島は悲鳴をあげた。万三郎は半身になり、腰を充分に入れて、下手を思いきり捻った。云うまでもない、三島はみごとに投げとばされた。
躯が巨きいから、投げがきまるときれいである。遠巻きの群衆はどっと歓声をあげた。わっわっとはやしたてた。
「眼が見えねえ、眼が見えなくなった」
三島は地面に足をなげだしたまま、両手で頭を押えて泣き声をあげた。
「おらあ眼が見えねえ、禿の畜生、おれの頭を割りやがった」
禿はどこかへ逃げ去っていた。
信州も屁十もいなくなり、権あにいもずっと向う(二十間もあろう)に立って、片方の腕を抱えたまま、怯えたような眼でこっちを見ていた。
「お逃げなせえその人」
群衆の中から叫ぶ者があった。
「役人がやって来ますぜ」
万三郎は横っとびにいって道具を取った。役人が来なくっても退散の汐どきである、袋を肩に掛け、割り竹の拾い箸を掴んで、脱走しようとする眼の前へ、
「そんなに慌てることはございませんわ、万三郎さま、お待ちあそばせ」
こう云って、立ち塞がる女があった。名を呼ばれたので、少なからずぎょっとして眼をあげるなり、万三郎は、
「あっ」といった。
「――つなさん」