轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

オート・ヴィエンヌ州に近づくにつれて故国の方の甲州や信州地方で見るような高峻な山岳を望むことは出来ないまでも、一年余を巴里に送った身には久しぶりで地方らしい空気を吸うことが出来た。途中の停車場で負傷兵を満載した列車にも逢った。戦地の方から送られて来たそれらの負傷兵は白耳義方面の戦いの激しさを事実に於いて語って見せていた。

七時間ばかりもかかって岸本は連と一緒にリモオジュの停車場に着いた。丁度出征する軍人を見送るために町の人達が停車場の附近に集っている時で、生れて初めて日本人というものを見るかのような土地の男や女が右からも左からも岸本等の顔を覗きに来た。

一日先にこの田舎町へ着いていた巴里の下宿の主婦は停車場まで姪をよこしてくれた。主婦は姉にあたる人の家で牧野や岸本を待受けていてくれたが、まだ部屋の用意が出来なかった。岸本等は停車場前の宿屋でその日を送ることにした。食事にだけ来いと言って、夕方には主婦の甥子が使に来たので、五人の一行は町はずれの家の方へ歩いて行った。日本人のめずらしい土地の子供等は後になり前になりしてぞろぞろ随いて来た。岸本が巴里から一緒にやって来た美術家の中には極旅慣れた人も居た。