轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんせい
新生
島崎 藤村
「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页
「私も変に思いましたからね、鼠かなんかの故じゃないかと思って、婆やと二人で仏さまの下まですっかり調べて見たんですけれど……何物も出て来やしません……」
「そんなことを気にするものじゃないよ。原因が分って見ると、きっとツマラないことなんだよ」
「仏さまへは今、お燈明をあげました」
節子はこの家の内に起って来る何事かの前兆ででもあるかのように、それを言った。
「お前にも似合わないじゃないか」岸本は叱って見せた。「輝が居た時分にも、ホラ、一度妙な事があったぜ。姉さんの枕許へ国の方に居る祖母さんが出て来たなんて……あの時はお前まで蒼くなっちまった。ほんとに、お前達はときどき叔父さんをびっくりさせる」
日の短い時で、階下の部屋はそろそろ薄暗くなりかけていた。岸本は節子の側を離れて家の内をあちこちと歩いて見たが、しまいには気の弱いものに有りがちな一種の幻覚として年若な姪の言ったことを一概に笑ってしまえなかった。人が亡くなった後の屋根の下を気味悪く思って、よく引越をするもののあるのも笑ってしまえなかった。
岸本は仏壇の前へ行って立って見た。燈明のひかりにかがやき映った金色の位牌には、次のような文字が読まれた。