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しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

お父さんはそれを聞きましてね、鸚鵡や鸚哥なんて奴はよくしゃべるから、迷い言の百万遍くりかえしても俺の耳には入らないが、禽獣のしゃべるのを一つ聞いてやろう、人間の顔をした禽獣のことだから何か物も書くだろう、一つ禽獣の書いたものを見てやろうと仰るんですよ。とても何を書いても解って貰えようは無いとは思いました。けれども自分の考えだけは一応明かにして置きたいと思いましたので、別紙のようなものを昨晩書きました。今日にも姉が参りましたら、読んで貰いましょうと思っております。毎日何かにつけて、そんなことを言われますけれど、この節は腹など立たなくなりました。自分をうつ鞭とも考えまして、はっきりした心持で一心に勉強したり家事を手伝ったりしております。つくづく『創作』の力を思います。それにしてもお父さんの気象として、何でも御自分の意のままに成ると考え、無理にもまたそうしなければ気のすまないところから、思いのままならぬ嘆息を僅かに禽獣と見て慰めていらっしゃるかと思いますと、お気の毒のようにもぞんじます。おん身御大切に。もうすこしで遠い旅からお帰りになった日も復た参りますね」