轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
彼は不快と恥しさとを制しながら云った。
「おい! 勝彦これから、夜中などに、お姉さんの部屋へなんか来たら、いけないぞ! 二度とこんな事があると、お父様が承知しないぞ!」
そう云いながら、勝平は、わが子を、恐ろしい眼で睨んだ。が、子はケロリとして云った。
「だって、お姉さまは、来てもかまわない! と云ったよ。」勝平は、頭からガンと殴られたように思った。
「来てもかまわない! 何時、そんな事を云った? 何時そんなことを云った?」
勝平は、思わず平常の大声を出してしまった。
「何時って、何時でも云っている。部屋の前になら、何時まで立っていてもいゝって、番兵になって呉れるのならいゝって!」
「じゃ、お前は今夜だけじゃないのか。馬鹿な奴め! 馬鹿な奴め!」
そう云いながらも、勝平は子に対して、可なり激しい嫉妬を懐かずにはいられなかった。
それと同時に、瑠璃子に対しても、恨に似た烈しい感情を持たずにはいられなかった。
「そんな事を姉さんが云った! 馬鹿な! 瑠璃子に訊いて見よう。」
彼は、息子を押し退けながら、その背後の扉を、右の手で開けようとした。が、それは釘付けにでもされたように、ピタリとして、少しも動かなかった。