轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
七
」
それは、此の場合突然ではあるが、尤もな希望だった。
七
「電話なら、女中にかけさせるがいゝ。おい唐沢さんへ……」
と、勝平が早くも、女中に命じようとするのを、瑠璃子は制した。
「いゝえ! 妾が自身で掛けたいと思いますの。」
「自身で、うむ、それなら、其処に卓上電話がある。」
と、云いながら、勝平は瑠璃子の背後を指し示した。
いかにも、今迄気が付かなかったが、其処の小さい桃花心木の卓の上に、卓上電話が置かれていた。
瑠璃子は、淑やかに椅子から、身を起したとき、彼女の眉宇の間には、凄じい決心の色が、アリアリと浮んでいた。
「あのう。番町の二八九一番!」
瑠璃子は、送話器にその紅の色の美しい唇を、間近く寄せながら、低く呟くように言った。
「番町の二八九一番!」
そう繰り返しながら、送話器を持っている瑠璃子の白い手は、かすかに/\顫えていた。彼女は暫くの間、耳を傾けながら待っていた。やっと相手が出たようだった。
「あゝ唐沢ですか。妾瑠璃子なのよ、貴女は婆や。」
相手の言葉に聞き入るように、彼女は受話器にじっと、耳を押し付けた。
「そう。あなたの方から、電話を掛けるところだったの。