轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
女王蜘蛛
一
が、ピアノの鳴る代りに、少年の小さい足音が、聞え始めた。愛嬌のよい微笑を浮べた少年は、トン/\と飛ぶように階段を馳け降りて来た。
「一体、何う云う御用でございましょうか、一寸聞かしていたゞくように、仰しゃいました。」
信一郎は、それを聞くと、もう夫人に会う確な望みを得た。
「今日、お葬式がありました青木淳氏のことで、一寸お目にかゝりたいのですが……」と、云った。少年は、又勢いよく階段を馳け上って行った。今度は、以前のように早くは、馳け降りて来なかった。会おうか会うまいかと、夫人が思案している様子が、あり/\と感ぜられた。五分近くも経った頃だろう。少年はやっと、二階から馳け降りて来た。
「御紹介状のない方には、何方にもお目にかゝらないことにしてあるのですが、貴君様を御信用申上げて、特別にお目にかゝるように仰しゃいました。どうぞ、此方へ。」と、少年は信一郎を案内した。玄関を上った処は、広間だった。その広間の左の壁には、ゴヤの描いた『踊り子』の絵の、可なり精緻な模写が掲げてあった。
女王蜘蛛
一
信一郎の案内せられた応接室は、青葉の庭に面している広い明るい部屋だった。