轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
嵐を衝いて
一
嵐を衝いて
一
勝平は、瑠璃子の言葉だけは、打ち解けていても、笑顔は氷のように冷たいのを見ると、絶望したように云った。
「あゝ貴女は、何うしても俺を理解して下さらぬのじゃ。俺の最初の罪を何うしても許して下さらぬのじゃ。貴女は、俺と勝彦とを、操って俺に、畜生道の苦しみを見せようとしているのじゃ。よい、それならよい! それならそれでよい! 貴女が、何時までも俺を敵と見るのなら、俺も、俺も敵になっていてもいゝ。俺が貴女の前に、跪いてこれほどお願しているのに、貴女は俺の真心を受け容れて下さらんのじゃから。」
もう先刻から、一升以上も飲み乾している勝平は、濁った眸を見据えながら、威丈高に瑠璃子にのしかゝるような態度を見せた。相手が下手から出ると、ついホロリとしてしまう瑠璃子であったが相手が正面からかゝって呉れゝば、一足だって踏み退く彼女ではなかった。
相手の態度が急変すると、瑠璃子は先刻の勝平の神妙な態度は、たゞ自分を説き落すための、偽りの手段であったことが、ハッキリしたように思った。
「あら、あんな事を仰しゃって、貴君の真心は、初から分っているじゃありませんか。