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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
二
そう思うと、信一郎は自分の会葬が、他の何人の会葬よりも、意義があるように思った。彼はそうした感激に耽りながら、じっと会葬者の群を眺めていた。急に、皆が静かになったかと思うと、戞々たる馬蹄の響がして、霊柩を載せた馬車が遺族達に守られて、斎場へ近づいて来るのだった。
二
霊柩を載せた馬車を先頭に、一門の人々を載せた馬車が、七八台も続いた。信一郎は、群衆を擦り脱けて、馬車の止まった方へ近づいた。次ぎ/\に、馬車を降りる一門の人々を、仔細に注視しようとしたのである。
霊柩の直ぐ後の馬車から、降り立ったのは、今日の葬式の喪主であるらしい青年であった。一目見ると、横死した青年の肉親の弟である事が、直ぐ判った。それほど二人はよく似ていた。たゞ学習院の制服を着ている此青年の背丈が、国府津で見たその人の兄よりも、一二寸高いように思われた。
その次ぎの馬車からは、二人の女性が現われた。信一郎は、その孰れかゞ瑠璃子と呼ばれはしないかと、熱心に見詰めた。二人とも、死んだ青年の妹であることが、直ぐ判った。兄に似て二人とも端正な美しさを持っていた。年の上の方も、まだ二十を越していないだろう。