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しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

という父の返事であったと書いてよこした。父は嫌な顔をしていることもあるが、どうかするとすっかり馬鹿にでも成ったように自分を見ている時もあると書いてよこした。父から叔父さんへ送った返事のことも姉から聞いて、仕方の無い自然の成行と思うと書いてよこした。しかし今までの苦しいことも、悲しいことも、何一つ無駄になったものの無いことを思えば、今度のような出来事からもいろいろと物を考えさせられて、反って自分に取っては静かにはっきりとした心持で勉強の出来る時を与えられたような気がすると書いてよこした。彼女はまた、今後お目に掛れるのは何時のことか、何年の後かと書いてよこした。その時になって叔父さんに自分を見て貰うのが何よりの楽しみだと書いてよこした。自分は毎日神に祈るようになったと書いてよこした。

百二十二

「お節さんはどうなすったんですか。この節はさっぱりお見えに成りませんねえ」

母屋の台所の方から膳を運んで来た女中がそれを岸本に言った。丁度昼飯時で、三人の子供は学校の方へ弁当を持って行っていた。女中は岸本の膳だけを離座敷に置いて、

「お子さん方の着物の綻びでもありましたら、ずんずんお出しなすって下さい。