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しんせい

新生

島崎 藤村

「東京朝日新聞」1918(大正7)年5月1日~10月5日、1919(大正8)年8月5日~10月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 334,815 字 · 663 页

青空文庫

蒸々と熱い日あたりは三人の行く先にあった。牧師が説教台の上で読んだ亡い学友の略伝――四十五年の人の一生――互にそのことを語り合いながら、城下らしい地勢の残ったところについて緩慢な坂の道を静かに上って行った。

「先刻、僕が吾家から出掛けて来ると、丁度御濠端のところで皆に遭遇した。僕は棺に随いて会堂までやって行った」

と言出したのは三人の中でも一番年長な足立であった。

「吾儕の組では、最早幾人亡くなってるだろう」

それを岸本が言うと、足立は例の精しいことの好きな調子で、

「二十人の卒業生の中が、四人欠けていたんだろう。これで五人目だ」

「まだ誰か死んでやしないか。もっと居ないような気がするぜ」それを言ったのは菅だ。

「この次は誰の番だろう」

あの足立の串談には、菅も岸本も黙ってしまった。しばらく三人は黙って歩いて行った。

「この三人の中じゃ、一番先へ僕が逝きそうだ」と復た足立が笑いながら言出した。

「僕の方が怪しい」岸本はそれを言わずにいられなかった。

「ナニ、君は大丈夫だよ。僕こそ一番先かも知れない」と菅は串談のようにそれを言って笑った。

「ところがネ、僕はマイるものなら、この一二年にマイってしまいそうな気がする……」