轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
「大阪毎日新聞」、「東京日々新聞」1920(大正9年)6月9日~12月22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,296 字 · 578 页
お父様の身代りになろうなどと、そんな消極的な動機から、申上げているのではありません。妾は、法律の網を潜るばかりでなく、法律を道具に使って、善人を陥れようとする悪魔を、法律に代って、罰してやろうと思うのです。一家が受けた迫害に、復讐するばかりでなく、社会のために、人間全体のために、法律が罰し得ない悪魔を罰してやろうと思うのです。お父様の身代りになろうと云うような、そんな小さい考えばかりではありません。」
瑠璃子は、昂然と現代の烈女と云ってもいゝように、美しく勇ましかった。
「お前の動機は、それでもいゝ。だが、あの男と結婚することが、何うしてあの男を罰することになるのだ。何うして、一家が受けた迫害を、復讐することになるのだ。」
「結婚は手段です。あの男に対する刑罰と復讐とが、それに続くのです。」瑠璃子は凜然と火花を発するように云った。
「お父様、昔猶太のベトウリヤと云う都市が、ホロフェルネスと云う恐ろしい敵の猛将に、囲まれた時がありました。ホロフェルネスは、獅子を搏にするような猛将でした。ベトウリヤの運命は迫りました。破壊と虐殺とが、目前に在りました。その時に、美しい少女が、ベトウリヤ第一の美しい少女が、侍女をたった一人連れた切りで、羅衣を纏った美しい姿を、虎のようなホロフェルネスの陣営に運んだのです。